決断力

決断力 (角川oneテーマ21)

決断力 (角川oneテーマ21)


羽生善治氏は、一時期凄い勢いで将棋のタイトルを獲得していた人。
将棋はルールは理解しているんだけど、イマイチ、勝ち方がよくわからないゲームなのであんまりやりません。

150手前後先の王手まで、あれこれ駆け引きすることや、そこまでの段取りを考えたりすることが、まったくどうしていいのかわからない。

”戦略的な思考”というのが苦手なわけでして。


実経験や知識を織り交ぜて考えるのは好きなんだけど・・・
将棋盤の上でのことを想像して段取りを組んだりすることはからっきし出来ないようです。


私とは多分、かなり対極のところに居る人なんだろうなぁと、興味があったので読んでみたわけです。


このエッセイでは、将棋のことに関して、あまり深く突っ込んでは書かれていないけれども、勝負や将棋に対する深い含蓄のある言葉が並んでいて、”勝負師”の勝負に対するすさまじい執念が感じられる。
そして、同時に冷静に自分をコントロールもしているんだなぁと。

勝負の鬼にまではならない人なんだなぁと。


そして、厳密に読みきって駒を進めているわけではないんですねぇ。
プロの棋士といえどもそこまで確信をもって勝負しているわけではないらしく、「あとはなるようになれ」ってことも多いんだとか。
(無論、人事を尽くして天命を待つ、くらいにやれることをやったうえでの「なるようになれ」なんでしょうけど)

情報が多すぎても決断できないって下りも、至極ごもっとも。


一流は全てに通ずる、ってやつなのか、将棋の世界以外にも広くアンテナを張って自分のものとされている様子が文章の端々からも伝わってきました。
自分を成長させるものを貪欲に吸収しようという姿勢のあらわれなんだろうなぁ・・・


私には良い刺激になった本でした。